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情報の渦と私

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制作1-情報の渦
 私には、新聞を読む習慣があります。と言うか新聞を読む事に夢中です。誰にでもよくある習慣ですが、しかし新聞は面白い。おびただしい情報を簡潔に淡々と文字にしているのです。その情報も右に寄ったり左に寄ったり、どこを読んでも、どこから読んでも本人の自由です。
 私の新聞の楽しみ方は、ほとんど意味も分からないのに社説を読んでインテリゲンチャーな気分に浸ったり、料理も作らないのに、「今日のレシピ」を読んでその料理を空想の中で食べてみたり、おおよそとても有効とは言えない楽しみ方をしています。
 しかし、そんな新聞たちも一日過ぎればただの古新聞です。もう二度と来ない一日の情報を、沢山詰め込んだまま廃棄されてしまうのです。そんなことを考えていたら、なんだか捨てられなくなってしまって、今日読んだ新聞を読んだ分だけ丸めていこうと思ったのです。要するに新聞は、情報が猛烈に詰まった紙です。それを積み重ねたら、私が生きた社会という情報の渦が出来るのではないか?と思ったのです。
 私の制作は「渦」という螺旋を表現することが多いのですが、それは自分を取り巻くように流れている時間や社会を象徴したものなのです。時には時代に流されたり、時には流れに逆らったりして、人間は逃げられない時間という流れの中で、歯を食いしばり生きているのだと思うのです。私の制作スタイルは日々の生活の中にあるのです。新聞を毎日読むことは、日常において誰もが行うありふれた行動です。しかしそれをすることにより、情報という社会の中に知らず知らずのうちに飲まれていくのです。自分を取り巻く社会や知らない国のことを、新聞は躊躇せずに語ってくれるのです。どんな悪天候の中でも、どんなに世界が不景気であっても、新聞は発行されます。私達の社会は止めることができないのです。そんな新聞を1年間巻いていきました。

■制作スタイル
 私の制作スタイルは生活の中のありふれた習慣にあるのです。そして難しい技術は何も使っていないのです。
 だって、美術は技術ではないのだから。カッターと糊があれば十分。高価な絵具もハイテク機器も必要ないのです。ただ本気で生きていればいいのです。
 この制作も例外ではないのです。特別な素材ではない、どこの家庭にもある、そんな新聞という素材を、毎日読み終わったら適当な大きさに切って巻いていく、ただそれだけなのです。
 それを永遠に続けて出来た「かたち」が、私達が暮している社会の象徴なのです。1日1日増えていく新聞の渦はその時その時の思い出も一緒に飲み込んでいきます。時が過ぎるごとに大きくなっていくこの物体が、今後どのような未来を巻き込んでいくのでしょうか?




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