イラスト 佐久間あすか公式HP 


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展示風景

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●制作12-フレデリックな日々
 私、突然ピアノが弾きたくなりました。  私の住む街。街と言っても、すばらしくローカルなところで、電車はない、バスは1時間に1本、タクシーは忘れたころにやってくるって感じの街なのです。でも、ちょっとした自慢があるのです。我が街の公民館にはグランドピアノがあるのです。スタインウェイとかジョンウェインとかなんとか言うピアノなのです。私はピアノのことは、というか音楽のことはな〜んも知らないのですが、街のみんなが誇らしく語るところをみると、きっと、すばらしいピアノなのだと思うのです。そんな訳でたいして興味があるわけじゃなかったのですが、そこまで街の人々が言うなら、その何とかウェイを聞きに行こうと思ったのです。
 我が街にピアニストである中村紘子さんがやってくるらしい。噂を聞き付けチケットを買う為に朝早々に並んで前列中央左よりの席をゲットした。音楽なんて何も知らないくせに愛好家並みの気合いの入れようだ。演奏もすばらしかった。ピアノがすばらしいのか、中村さんがすばらしいのか、そんな難しいことは、素人には聞かないで下さい。でも、本当に感動したのです。汗をかきながら弾くピアニストとずっしりと訴えかける音、それを聴いていることで文化人きどりに酔っている私。急にピアノが弾きたくなっちゃったのです。音楽なんて、中学校の音楽以来です。その時だって、縦笛をちょびっとと、歌は最悪、音譜は読めない、テストはまる投げ、そんな過去は、その時は何故か忘れていました。
 次の日になっても耳に中村さんの弾いたフレデリック・ショパンの曲が残っているようで、何故か知らないけど、いつのまにか、ピアノが弾きたいのではなくて、ピアノが弾けるような気になってくる私って、客観的に見るとただの馬鹿なのかも...。この歳になると誹謗中傷に物凄く強くなるものです。そんな一般的な意見をよそにピアノ教室に通うことにしました。でも何故かピアノの先生にショパンの『革命』を弾かせて下さいと言ったら、苦笑していました。
 そんなこんなで、とりあえず、初歩の初歩からピアノを始めたのですが、物凄く困難極まりないのです。ショパンの『革命』なんて無理。でも私はあきらめませんよ。10年かかったって、20年かかったってなんてことありません。どうしても汗をかきながら気が狂ったように、あの曲を弾いてみたいのです。
 上手くなる為には努力は惜しんではいけないのです。極力練習しない日をつくらないようにしたりして、音楽用語の単語帳を作っちゃったりして、聴くCDは全部クラシックピアノで、爪だって三日に一回は切るのです。気が散るからマニキュアやつけ爪は全部処分しちゃいました。
 話は少しずれますが、よくその人が何かにあやかりたい時に爪のアカを煎じて飲みたい』なんて言うじゃないですか。爪をマメに切るようになって、何故かその言葉が頭の隅に残っていて、とはいえ、私の爪のアカは何も価値がないようだけれど、ついぞ、今日の今日まで集めてみました。小さな瓶に詰めた爪を見て思うことに、なんの根拠もないのですが、何故か私のささやかな夢は叶う気がするのです。もし私がショパンの『革命』が弾けるようになったら、この爪のアカはただの爪のアカではありません。きっと誰かが煎じて飲んだら『革命』が弾けるようになるかもしれません。ちょっと時間はかかるかもしれませんが。




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