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書道の渦

練習半紙

条幅を書く

師範免許証

●制作3-継続
■書道1
 自分が何かを習得したくなる時はどんな時なのかって考えると・・・。劣等感に駆られて、必要に迫られて、興味があって等、様々だと思います。例えば、一生懸命勉強している受験生がいる。スポーツなどで非常に過酷な練習に耐えている人がいる。一生懸命働きながら資格試験に挑んでいる人がいる。また、まったくそのような事に興味がない人でも、テストの成績や周りの目くらいは気になる。しかし、人は何故そんなに習得したいのだろう?
 最近の私、めちゃくちゃ書道に嵌っているのです。たいした理由はありません。ただ文字を綺麗に書けるようになりたいと、急に思えてきたのです。制作の為でも自己主張の為でもないのです。
 実は私、文字を書くのが猛烈にヘタクソなのです。だけど気にした事はなかったのです。文字など読めればいいと思っていたし。小・中・高・大学生時代なんら支障もなかったのです。ワープロも普及していたし、例え日本には文字という芸術があろうとも、私には何の関心もなかったのです。そんな日々の中で、いつもは文字など汚くてもいいと思っているくせに、芳名帳を前にすると少しでも上手に書いてやろうなんて、図々しくもそう思っちゃったりするのです。そして、何故か「字が汚い」って言われると、とっても頭にくるのです。この前、知り合いの高校生に「あすかさんの書く字って小学生みたいですね。」って言われたのですよ。無性に腹が立って、家の近所で村一番の書道教室に通い始めたのです。しかも、「一般コースじゃなくて、小学生コースから始めたいのです。」と先生にお願いして、小学生に混じって教えてもらっているのです。だけど、小学生だと思って侮ってはいけません。みんなやけにうまいのです。かといって小学生に負けるわけにはいかないので、子供相手だとはわかっているのだけれど、本気で書道しちゃったりしているのです。家でだって影錬しているのです。もう、部屋中書き損じの半紙だらけになったって構わないのです。努力だとか根性だとかそんなカッコイイものじゃないのです。見栄だとか自分の為でもないのです。ただ上手に文字が書ければいいのです。
 そんなこんなで、毎日、墨と紙に塗れていたら「そろそろ書道検定でも受けてみては・・・・。」と先生に薦められて、師範の道を目指すことにしました。ちょっと動機が不純ですが、いいのです。私は字が上手くなりたいのです。そんな練習用の半紙を、習い始めてからずーっと書くたびに巻いていきました。
 たまに独りになると考えることがあるのです。人間は、日々生活していく中で目には見えなくても、形には残らなくとも、生きるという連続行為の結果、変化し続けている生き物なのだと思うのです。生まれてから大人になるまで、何の影響も受けず、また何の影響も与えずに生き続ける人などいないのです。目的を持って行動しようとする日々も、ただ何となく過ぎ去る日々も、すべて今の自分を形成する為にあるのだと思うのです。書道を始める前の私と、その後の私は外見じゃ全然変わらないのですが、明らかに内面は違うのです。どんどん上手くなっていくのです。あえてその変化の過程を作品化してみたのです。
 この制作は、書道を始めたときから練習で使った半紙を集積してきたものです。制作の目的は、最終的に達成するある地点を目指すものではなくって、あることを「継続」することによって、変化する自己を取り巻く「時間」の表現なのです。書道を継続すればするほど、半紙の渦は大きくなります。私も大きくなるのと一緒に作品も大きくなっていくのです。時間と経験が増せば増すほど、練習の渦は大きくなっていくのです。制作ってそんなものだと思います。一時だけ頑張って作っておしまいじゃつまらないのです。一生をかけて創るのです。だから、今もなお練習しているのです。




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