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一日一足

部分

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●制作7-獲得物
 毎日履く靴の裏をまじまじと見たことがありますか?今日という一日を、散々歩き回った靴の裏を見てみると、舗装されたアスファルトの道路しか歩かなかった日でも、必ず靴の裏には小石が一つ二つは挟まっている。小石ばかりではない。プラスチックの破片や植物の種らしき物。色も大きさも様々です。白黒、琥珀色、緑色・・・。どこの道の小石だろうか。靴の裏を見て今日を顧みる。
 デザイナーで路上観察学会の林丈二氏のコレクションは、靴の裏の小石だ。彼は、百日間のヨーロッパ旅行で毎日、靴の裏の小石を採取して、一日分を一つの小瓶に詰めていった。小瓶のコルク栓には、その日に歩いた土地の名前が書いてある。氏のヨーロッパ旅行の思い出は、この小さな瓶に詰まっているのです。氏にとっての思い出は、お金で買うものでも、懸命に探したものでもなく、自分の靴の裏に勝手についてきたものなのです。
 人が歩むということは、目的地に到達する為だけの行動ではなく、その途中には無意識のうちに何かを獲得しながら歩んでいるのだと思います。生きているということも同じです。私達は知らず知らずのうちに、靴の裏に付く小石のように意識はしていなくても、何かを毎日自然と付着させながら生きているのです。平凡な日々の中にも必ず「獲得物」はあり、その中には目には見えないもの、日々の変化に気付かないくらい些細なものもあると思います。それでも今日という道を誰もが歩んで、そして誰もが「獲得物」という小石を拾うのだと思います。
 私は一日一足の靴下を履き、それを毎日巻いていこうと思いました。今日歩んだ道の「獲得物」は、私自身が気付かなくとも、靴下だけは知っているからです。




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